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現職の総理が国民に対し謝罪会見。それも、汚職やスキャンダルが原因ではない。体調悪化を主たる理由とする退陣に対する謝罪だというから前代未聞である。私は政策的にも人物的にも安倍前総理を支持していなかったが、本当に体調を崩したのであれば何も謝罪を求めようなどとは思わないし、むしろ謝罪などすべきではない。「病気になりました。総理は続けられないので次の総理が決まるまで臨時代理を置きます。」とこれで済む話である。 しかし安倍前総理は国民に対し謝罪をした。これに対しては同情的な意見も生まれてくるだろうが、私は賛成できない。 まず、首相臨時代理を置かなかった点。パトカーの先導で官邸まで5分以内で行けるから問題ないとか、意識はしっかりしているとか言われているが、あの会見での憔悴ぶりを見るに、体調面だけでなく精神面でもかなり参っているようだ。そのような状態で有事に迅速かつ適切な判断ができるのだろうか。臨時代理を置かないこと自体が危機管理能力の欠如と言われても仕方ない。 次に、議員活動は続けるとしている点。確かに、体調を崩した議員が議員辞職までする例は稀である。しかし、これほど大切な時期に相当期間の政治空白を作った責任は、総理の職を辞しただけで済む問題ではない。政界引退に値するほど重い責任があるし、少なくとも一度議員の職を辞し、次の総選挙で選挙民の信を問うべきである。 ただ、はじめから最後まで安倍前総理を支持していなかった私でも、安倍政権が何もできなかったという論調には反対である。その全てに賛成というわけではないが、教育基本法の改正、国民投票法の制定、防衛庁の省昇格などの実績はある。とりわけ、国民投票法の制定は小さくない実績だろう。憲法改正に反対の立場をとる私ですら、憲法改正のための国民投票に関する法律がなかったことは疑問に感じていた。 問題はその成立に向けた手法である。安倍政権におけるあまりにも強引な国会運営はとても容認できるものではない。安倍前総理が支持率を下げた背景には、もちろん閣僚の不祥事等の問題もあるが、数にものを言わせた度重なる強行採決は悪い印象を与えただろう。 そして、そのような強硬な態度から一転、あまりにも弱々しい形で辞意表明をした安倍前総理には批判が集中した。恐らく当人は、ここまでの批判を受けるとは予想していなかったのではなかろうか。小沢代表に党首会談を断られたことを直接的な理由として挙げれば、批判の矛先が一部、民主党に向かうとでも思っていたのだろう。 だが、実際は違った。マスコミも世論も安倍前総理に同情する意見は少なく、批判的な意見が圧倒的に上回った。このあたりの見通しの悪さも、安倍前総理の甘さを示している。そして、病気という正当理由があるにもかかわらず謝罪会見へと追い込まれた。 結論として、安倍前総理ははじめから総理の器ではなかったのだと思う。重要法案をいくつも可決したにもかかわらず支持率が低下の一途を辿ったのは、閣僚の不祥事だけが原因ではないはずだ。十分な審議を通じて国民に対して法案の重要性を説明できなかった点も看過できない。安倍前総理のやったことは単に数で押し切ったというだけのことであり、国民に対する説明という点では全く不足していたといわざるを得ない。そういう人物が総理になってはいけない。 次の福田総理は、話し合いを重視する姿勢を示しているから、安倍前総理のような手法は採らないだろう。これに対して民主党がどれもこれも反対ばかりしていたら今度は民主党が叩かれる番である。民主党としてはやりにくい相手かもしれないが、くれぐれも国民の生活に密着した問題を政争の具としないよう願いたい。 |
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